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Vol.08

世界を舞台に
活躍できる人材へ

~中学校における国際交流プログラムの意義~

2019

英語科

英語科

三浦 麻美子

中央大学附属中学校では、希望者を対象に様々な国際交流プログラムを実施しています。その多くは学年ごとの募集となっており、少しずつハードルを高くすることで、一人でも多くの生徒が自然体で海外との交流にチャレンジできるよう設定をしています。ここでは、中学校で用意している各種交流プログラムについて、紹介をさせていただきます。

中学校1年生

まず、2日間にわたり学校へ通いながら体験する「学内ミニ留学」が、1年次の夏休みに行われます。ここでは、世界各国出身の講師を学校へ招き、少人数クラスで英語漬けの2日間を過ごします。このプログラムの目標は、「コミュニケーション力を鍛える」ことです。講師の出身国はアジアからヨーロッパ、北米・南米まで多岐にわたります。そんな中で、生徒たちは英語をツールとして用い、世界の国々の文化や習慣についての知識を増やし、同時に自分自身について英語で表現するトレーニングを行います。参加した生徒は、「個性豊かな外国人の先生方と一緒に話ができて楽しかった!」「英語を使って聞いたり話したりすることに自信がついた!」と目を輝かせて言います。この「楽しい」という気持ちや「できる」という自信が、次のステップにつながるのです。

講師の先生方も個性豊か
講師の先生方も個性豊か
夢中になっている間に英語が自然と口をついて出ます
夢中になっている間に英語が自然と口をついて出ます

中学校2年生

2年次には、福島県にあるブリティッシュ・ヒルズで3泊4日にわたる研修を行います。様々な角度から英国について学ぶこの研修。ハリー・ポッターの世界を彷彿とさせる研修施設では、英国のマナーや文化について学びます。

参加をした生徒からは、「外国へ行ったような気分を経験できるし、外国の文化に触れ、英語を深く学ぶことができる貴重な機会となり、参加してよかった」、「スコーン作りが最も印象に残った。イギリスの食文化を知ることができたので、良い体験になった。家でも作れそうなので、今度作ってみたい。」といった声が聞かれました。

ここではコミュニケーションスキルの向上と共に、異なる文化の中に身を置くことで、新しい発見への喜びやもっと自分を試したいというチャレンジ精神、もっと知りたいという探求心が育つ様子が見られます。

カリグラフィーを習い、カードを作りました
カリグラフィーを習い、カードを作りました
スコーン作りのキッチンも まるでイギリスにいるよう
スコーン作りのキッチンも
まるでイギリスにいるよう
気分はハリー・ポッター
気分はハリー・ポッター
真剣な表情で質問
真剣な表情で質問

中学校3年生

3年次には、台湾交流プログラム、英国AES*交流プログラム、オーストラリア交流プログラムなど、いよいよ海外へと羽ばたくプログラムが用意されています。

冬休みの3泊4日、高校生と合同で実施する台湾交流プログラムでは、台湾の自然や文化、歴史について学ぶほか、2018年度に姉妹校協定を結んだ海山高級中学を訪れ、学校体験と生徒交流を行います。同じアジアに生きる同世代の生徒同士の交流は、互いにとって大変良い刺激となります。

文化体験の一環としての小籠包作り(台湾)
文化体験の一環としての小籠包作り(台湾)

また、高校入学を目前に控えた春休みには、オーストラリアとイギリスの2カ国それぞれで行われる約10日間のプログラムがあります。いずれも現地のご家庭でホームステイをしながら交流校へ通う体験をします。このほか、オーストラリアでは動植物の観察を通じた自然学習や先住民アボリジニの文化についてのレクチャー、英国ではケンブリッジ大学の学生との交流や日系企業の訪問など、多角的な興味・関心を引き出すプログラムも用意しています。

ケンブリッジ大学にて、学生の案内でカレッジ見学(英国)
ケンブリッジ大学にて、学生の案内でカレッジ見学(英国)
英国での体験について、現地校の生徒の前で発表(英国)
英国での体験について、現地校の生徒の前で発表(英国)

海外の国を訪れ、その土地に生きる人々と出会うことは、多くの「気づき」をもたらします。例えば、自分にとっての当たり前が相手にとっての当たり前ではないという新しい価値観への気づき。相手を知り、理解しようとすることと同じくらいに、自分のことを伝え、理解してもらうことの大切さと難しさへの気づき。こうした数々の気づきが、参加生徒を大きく成長させます。同時に、同じことで笑ったり、同じことに感動をしたり、同じことを喜んだりといった「人」として変わらないことへの気づきが訪れたとき、世界がぐっと近く感じられるようになります。

*Anglo European Schoolと2018年度より交流

カンガルーと触れ合う(オーストラリア)
カンガルーと触れ合う(オーストラリア)
現地の先生の授業に真剣に耳を傾ける(オーストラリア)
現地の先生の授業に真剣に耳を傾ける(オーストラリア)

その先へ、種を撒く

ここまで中学校で実施している各種プログラムについてご紹介させていただきましたが、これらは決してゴールではありません。大切なのは一人ひとりがここでの経験をどう紡ぎ、その先にどのようにつなげてゆくかということではないかと考えています。

本校では、高校生希望者を対象に前述の台湾交流プログラムのほか、夏休みの3週間を利用した英国短期語学研修プログラム、1学期間をニュージーランドの高校で過ごすターム留学などを通して次の経験へとつなげられる場を用意しています。また、単位認定留学制度を設けることで、1年間の長期留学へのチャレンジも後押ししています。こうしたものをはじめ、学内外における様々な機会を利用し、さらに自分の世界を広げるための取り組みをする卒業生も少なくはありません。

ここで、中学校のプログラムへ参加したことをきっかけに、高校入学後さらなるステップアップに挑戦した2名の生徒の声をご紹介いたします。

永田 和果さん

中学3年次にオーストラリア交流プログラムに参加、高校1年次で本校主催の英国短期語学研修プログラムで英国・ボーンマスへ

私は、オーストラリア交流プログラムで日本とは違う生活を体感しました。もちろん家族と離れての海外渡航、ホームステイは初めてで、とても緊張し不安でした。しかし、私が言葉を探しながら話しているとホストファミリーは全員必死に耳を傾けてくださり、私が理解できないでいると簡単な英語に言いかえて助けてくださるため、どんどん不安も消えて楽しくなっていきました。そしてこの体験により、それまで英語への苦手意識が強く遠慮がちだった私が、前向きにコミュニケーションをとろうと思えるようになりました。帰国後、中附の英語のネイティブスピーカーの先生方にも、発音や積極性を褒めて頂けることが多くなりました。高校に上がり、もっと英語を話したい気持ちと他国で様々なことを経験したいという好奇心から、3週間の英国短期語学研修に挑戦しました。迷いながら頑張り楽しく学んだオーストラリアの体験が後押しし、積極的になれました。イギリスでもこの経験は自信となり、思う存分現地での研修を満喫することができました。

黒澤 蓮南さん

中学3年次に英国AES交流プログラムに参加、高校1年次で文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」で南アフリカ共和国へ

AES交流プログラムに参加して一番印象的だったのは、多民族国家であるイギリスで、肌の色や宗教の異なる人々が当たり前のように一緒に生活をする光景を見たときでした。

私のホストファミリーはお母さんがカリブ海の島国の方で、お父さんはポルトガル人でした。バディーとして毎日一緒に過ごしてくれた長女は学校ではロシア人の女の子と仲が良く、その関係を間近で見て、しかも自分もそこに加えてもらえるというのはとても新鮮な感覚でした。 そんなイギリスでの経験を受けて、さらに自分が知らない土地で多国籍・多民族が共生する国へ行ってみたいと思い、この夏、南アフリカ共和国に3週間留学しました。

イギリスでは毎日コミュニケーションをとるだけで精一杯でしたが、今回は現地の格差社会やそれにまつわる貧困について考えたり、ボランティアに参加するなど、自分なりのテーマを持った留学ができたと感じています。今は、様々な国や宗教ならではの生活に触れること、自分とは全く違うバックグラウンドを持つ人と関わること、海外に飛び出て自分がマイノリティーな存在になることがとても面白いです。「もっと色々なことを話したいのに」というもどかしさや、「さらに細かなニュアンスまで伝えたい」という思いが今の私の英語の勉強をするモチベーションになっています。

中学校における国際交流プログラムの役割は、その先のステージへとつながる種をできるだけ多く撒くことなのではないかと考えます。中央大学附属中学校では、その種がそれぞれのタイミングと場所で芽吹き、世界を舞台に輝くことができるよう、今後も各種プログラムを通じて応援してゆきます。