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「中附硬式野球部の挑戦」
選手の自主性が活動の基本

~人としての成長を求めて~ 

保健体育科 佐藤 天馬(硬式野球部監督) 保健体育科 佐藤 天馬(硬式野球部監督)

 皆様こんにちは。硬式野球部監督・顧問の佐藤です。
 硬式野球部は中央大学附属高等学校(以下中附)の数あるクラブの中で、もっとも歴史の長いクラブのひとつです。中附では、1971年に制服がなくなりましたが、今でも硬式野球部の選手は制服(詰め襟の学生服)を着用しています。
 このようなお話をさせていただくと、自由といわれる中附で制服が強制される厳しいクラブなのかと思われるかもしれません。ただでさえ、高校野球は「堅苦しい」、「敷居が高い」という印象をもたれがちなので、なおさら厳しいと思われたかもしれません。
 そう思われたみなさん、ぜひ一度、中附の野球場に足を運んでみてください。きっと野球場で伸び伸びとプレーする選手たちの姿を目にすると思います。真剣な表情と笑顔が交錯していることに気づくはずです。坊主頭の選手が少ないことにも気づくと思います。この野球場の風景は、本校の教育目標と深い関係があるのです。

「自主・自治・自律」

 中附は「自由」というイメージが定着しているため、教育目標が「自由」と思われることが多いのですが、教育目標は自由ではなく「自主・自治・自律」です。「個人を尊重し、自分で考え、自分で実践する」ということです。そして硬式野球部も、教育目標である「自主・自治・自律」を基本としています。
 活動としては、秋季大会(9月上旬~)、春季大会(3月中旬~)、そして夏の選手権予選(7月上旬~)で勝ち進むため日々練習に励んでいます。活動日は、火曜日から日曜日です。週に1日は休養日を設けており、基本的に月曜日に設定しています。主に火曜日はトレーニングや、その1週間を濃く過ごすためのミーティングを行い、水曜日から金曜日は専用野球場を使い、実戦形式での練習を多く行います。なぜ実戦形式での練習を重視するかというと、この練習で出た課題を個人やチームが認識し、週末の練習試合や大会へと考えて練習するサイクルを大切にしているからです。また合宿を年に2回行っております。7月下旬の新チーム発足後には校内で、冬休み中には千葉県で実施しています。練習試合は年間で、40校以上の学校と組ませていただいています。その内、本校野球場で実施する割合は6割程度です。他校への遠征だけではないため、相手校の方々へのおもてなしの心も自然と意識できるようになるとともに、「自分たちのグラウンド」に対して愛着を持つようになります。15:15に授業が終了し、15:30には練習が開始できる専用野球場は、中附野球部の魅力の一つです。

中附硬式野球部
中附硬式野球部

 練習メニューの一つに「課題別練習」というものがあります。このメニューは、監督と選手との個人面談で課題を確認し、フォームチェックなどの動画分析、スイングスピードをはじめとする数値を基に各自が練習内容を考えて取り組むというものです。夏の大会前になると、このメニューの時間には、選手はそれぞれの練習をしています。私たちは、個人を尊重し、選手が自身で行い、自身を律することを求めているのです。つまり、「自主・自治・自律」です。
 また、中附はスポーツ推薦入試を行っていないため、さまざまな経歴の生徒が入部してきます。1学年の部員数は10名程度ですが、そのうち、中学校時代に硬式野球を経験している選手は5割から7割程度です。そのなかには怪我で苦しんだ選手や、試合に出られなかった選手もいます。ときには野球経験のない生徒が入部してくるときもあります。経歴にかかわらず硬式野球部は、野球が好きで一生懸命やりたいという選手の気持ちを尊重しています。やりたいという気持ちは「自主」につながるからです。

中附硬式野球部
中附硬式野球部
中附硬式野球部

「人としての成長」

中附野球部徹底事項

 中附には「教養総合」、「卒業論文」、「卒業研究」など、自ら課題をもち、自ら調べ、考える授業が設定されています。これらの授業には答えはありません。自ら考え、試行錯誤して自分の答えをみつけることを目的としているからです。中附は学習においても生活においても、生徒が自ら考え、試行錯誤しながら答えを見つけ、成長することを期待しています。
 硬式野球部も同じです。「自主・自治・自律」を基本としながら、選手が自ら考え、試行錯誤をしながら成長することを見守り、サポートすることが私たちコーチや監督の役割だと考えています。例えば、「グラウンド内はダッシュ」や「感謝の気持ちを持つ」などの7項目を『中附野球部徹底事項』として掲げています。これらは全て選手が考えたものです。私たちはこれらを徹底することがどのように人として成長するのか、そういったことを感じてもらえるよう問いかけています。どの組織に身を置いても自分勝手な行動というのはふさわしくありません。集団(仲間)を意識しながら基本的な行動に全力を尽くす習慣を身に付けてほしいと考えています。この先、彼らには社会をリードしていく存在になることを期待していますし、人としての礎を築くことがこの先の人生をより良く生き抜くために必要であると考えています。
 先述した通り、坊主頭ではない生徒がいたり、各々が多様な練習をしていたりと伸び伸びと活動している風景が広がっています。一方で、自分たちで掲げた徹底事項をはじめとして、人として大切だと考えること、例えば、挨拶や道具の整理整頓、集団がきびきびと動くことなどは、生徒も徹底しようと自ら行動しています。

 高校野球でプレーするのは2年半と短いので、成長の途中で終わってしまったり、選手が結果を出せなかったこともあります。短い時間で結果を出すには、指導者が手取り足取り教えたり、叱責する方がいいという考えもありますが、私たちは、選手に答えを教え込もうとはしません。受動的に教え込まれて高校時代に結果(答え)を出すより、結果(答え)が出なくとも能動的に考えて試行錯誤する経験を積むことが、高校時代よりも長いこの先の人生を豊かにしてくれると考えているからです。
 2018年にキャプテンを務めた選手が、トビタテ!!留学JAPAN 日本代表プログラム高校生コース派遣留学生に選ばれ、夏の大会終了後「ドミニカ野球を肌で感じる!」をテーマに、ドミニカ共和国サントドミンゴに留学しました。彼は怪我のため高校ではほとんどプレーすることはできなかったのですが、中附の硬式野球部の「答えを教えない」、「考える」練習を通して、日本の高校野球のあり方に疑問をもち、自分の答えを求めて留学を決意したのです。中附を卒業してプロ野球に進んだ選手はいませんが、指導者として高校野球を変えてくれる生徒が出てくれることも期待しています。
 チームの数だけめざす目標があります。その中で、中央大学附属高等学校硬式野球部は、「自主・自治・自律」を基本としながら、「人としての成長」を目標にしています。

日々の練習風景
日々の練習風景